世界中の陰謀論を1日1個、酒の肴にする連載。ほんまかどうかは最後に判定する。判定は4つ。【否定】【未解明】【一部事実】、ほんで「陰謀論やと思てたらほんまやった」の【事実】。
今日は【一部事実】や。髑髏と骨の話や。
どっちに投票しても、「骨」の男が大統領になる
まあ座り。2004年のアメリカ大統領選挙な、おかしなことになっとった。共和党の現職ブッシュと、民主党の対抗馬ケリー。この二人、イェール大学の同じ秘密クラブの出身やったんや。どっちが勝っても、スカル・アンド・ボーンズの「ボーンズマン」が大統領になる選挙やった。
選挙の最中、テレビの名物インタビュアーが二人に同じことを聞いた。ブッシュの答えは「秘密すぎて話せません」。ケリーの答えは「大したことは……いえ、秘密ですので」。与党と野党が殴り合っとる最中に、ここだけ仲間の口裏を合わせとる。陰謀論者が飛びつくのも、無理はないわな。
墓に集まる15人
本体は1832年、イェール大学で創設された学生の秘密結社や。創設者はラッセルとアルフォンゾ・タフト。このタフトの息子が、後の第27代大統領ウィリアム・ハワード・タフトや。創設者の息子が大統領になっとる時点で、もう濃い。
仕組みはこうや。毎年春、在学のメンバーが下級生の中から15人を指名する。「タップ」、肩を叩く儀式や。選ばれた者はキャンパスのはずれにある窓のない建物、「墓(トゥーム)」に集まって、週2回の集会を持つ。建てられたのは1856年や。法人としての名前は「ラッセル信託協会」。不動産を持って登記までしとる時点で、秘密結社いうより同窓会の財団や。
エンブレムは髑髏と交差した骨に、数字の「322」。この322は何かいうと諸説あって、紀元前322年にアテネの民主政が終わった年、いうのがいちばん有名や。創設者のラッセルがドイツ留学で見た学生結社がモデル、いう説もある。秘密結社の輸入品や。
名簿だけは本物
秘密結社やから中身はわからん。儀式の詳細が世に出たのは1977年、雑誌の記者が元会員を何人も取材して書いた暴露記事が嚆矢や。以来、長年のリークと調査報道で、卒業生の名簿はかなり確定的になっとる。
ちなみに漏れてきた内情によるとな、墓の中でやるのは世界征服の密議やない。新入りが自分の生い立ちを洗いざらい告白する集会やとされる。全員の黒歴史を握り合う。これ、結束はめちゃくちゃ強くなるわな。部下の失敗談を握っとる課長と同じ構造や。
そこに並ぶ名前がえげつない。タフト大統領。ブッシュは親子で二代、おじいちゃんのプレスコット(上院議員)まで入れて三代。ケリーは後に国務長官までやった。このほか財務省・諜報機関・大手新聞と、権力のど真ん中の職業ばかりが並ぶ。
ここまで聞くと「ほらやっぱり支配しとる」となる。せやけどな、1年に15人。190年続いても卒業生は数千人規模や。そこから大統領が3人出るのは、確かに異常な確率や。ただ、イェール自体がそういう学校なんや。骨の会があろうがなかろうが、あそこの卒業生は要職に就く。相関はある。因果は裏が取れとらん。
ほんで判定やけど
【一部事実】や。
実在する。会員の顔ぶれは事実。儀式も建物も実在する。そこまでは本物や。「政界・諜報・金融を支配する秘密の司令部」いう部分は、190年分、誰も証拠を出せてへん。
異説も置いとく。この会を何年も取材したジャーナリストは、「支配組織やないが、採用ルートとして今も機能しとる」と書いとる。つまり命令を出す組織やのうて、「知り合いに仕事を回す会」や。……こう書くと急に夢がなくなるやろ。せやけど世の中、怖いのは秘密の司令部より「知り合いに回す会」のほうや。そっちは法律で取り締まれへんからな。
強いやつは、ほんまの部品しか使うてへん。骨の会のほんまの部品は「エリートの人脈は大学時代にできとる」いう、どこにでもある構造や。髑髏のマークは、それをカッコよく見せる包装紙にすぎん。
ほな、今日は「墓の中身は同窓会やった」いう話で。
この回の棚はAmazonと楽天のリンクや。買うてもろたら店にいくらか入る。