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テケテケ出どころを追うたら、沖縄に着いた

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日本の都市伝説を1日1個、酒の肴にする連載。怖がるためやのうて、「この話、どっから湧いたん」を追う。最後に判定する。【実話ベース】【完全な作り話】【元ネタあり】【発生源不明】、だいたいこの4つや。

まあ座り。今日は「音の怪異」や。姿を見る前に、音で分かる。学校帰りの口コミだけで育った、昭和の怪談の設計図みたいな話や。


音だけで分かる

まず話のほうをおさらいしとこ。

線路で下半身を失った女が、上半身だけで這って追いかけてくる。足がないから肘で地面を叩いて進む。その音が「テケテケ」。名前が音や。しかも、この上半身だけの女が、異様に速い。逃げても追いつかれる。

ここで前々回を思い出してくれ。口裂け女は100メートル6秒で走った。人面犬は高速を時速100キロで走った。そしてテケテケは、足がないのに速い。「逃げられん速さ」は、怪異の定番の盛り方や。下半身を捨ててまで速さを取った。あきらめが悪いというより、設計が優秀や。見た目より先に音が来るから、耳から逃げられん。

前日譚は、後からくっついた

よく語られる「なぜそうなったか」の話もある。雪の日の北国、急いでいた女子高生が遮断機の下りた踏切を渡ろうとして転び、列車に轢かれて真っ二つになる。様子を見に来た運転士の前で、上半身だけが動き出す——という筋や。

ただしこれ、調べた人によると、もとは別の話やったらしい。「上半身だけの怪異」と「踏切で轢断された女」は、もともと別々に流れとった噂が、どこかで合体した。怖い話は、部品の換装が効く。車と一緒や。エンジンだけ載せ替えても走る。

発生源を追うと、沖縄に着く

さて本題や。どっから湧いた。

発生年は1970年代ごろとされとる。ただ、追った記録がある。都市伝説を採集してきた研究者によると、「テケテケ」という名の付いた初期の話は、沖縄に極めて多い。1980年ごろの沖縄で、車の屋根に頬杖をついてこちらを見とる少年が上半身だけで「テケテケェ〜」と近づいてくる、いう話が語られとった。沖縄の方言の響きで、「テクテクゥ〜」「シャカシャカァ〜」とも呼ばれとったという。

しかも兄弟分が全国におる。鹿児島に「パタパタさん」、滋賀に「コトコトさん」、神奈川に「カタカタ」。音の名前を持つ上半身の怪異は、各地で別々に生まれとったんや。女とは限らん。おっさんのもおる。本土に渡るうちに女になり、線路が付き、北海道が付いた。そう読むのが、今のところ一番すっきりする。

名前は世代でも分かれとった。調べた本によると、大人が語るのは「肘かけババア」「コツコツばばあ」いう老婆。高校生あたりは「肘子さん」「肘かけ女」いう若い女。そして小中学生が語るのが「テケテケ」や「パタパタ」やったという。同じ怪異が、語る側の年齢で顔を変える。噂は宿主に合わせて着替えるんや。

ほんで90年代、「学校の怪談」のブーム(この連載の#57)が来て、児童書や映画が学校の噂を採集した。そこでバラバラやった名前が「テケテケ」に統一されていった。口コミの噂を本が回収して、本の名前がまた学校に還流する。人面犬と同じ循環や。派生まで生まれとる。テケテケに奪われた下半身のほうが怪異化した「カツカツさん」いうのも語られたらしい。上半身と下半身で別々にデビューしとる。芸人より出世が早いわ。

ついでに言うと、「話を聞いた者のところに来る」いう設定は、カシマさん(この連載の#75)と共有する型や。怖い話にも家系図がある。

ほんで判定やけど

【発生源不明】や。

沖縄発祥説が有力や。せやけど決定打はない。各地に兄弟分がおる以上、「最初の一言」を一個に絞るのは無理がある。口裂け女と同じで、作者は日本中の子供全員や。ただ、口コミだけで全国に行き渡った分、新聞に載った口裂け女より足跡が薄い。追えるのはここまでや。

怖がらせる話として書く気はない。俺が見たいのは設計図のほうや。「音」「速さ」「欠けた体」。この三つの部品だけで、何十年も子供を震え上がらせてきた。シンプルなもんが一番長持ちする。機械と同じや。

ほな、今日は線路の音を気にせんと、いつもの店まで歩こ。テケテケ聞こえても、たいてい風か、自転車のブレーキや。


この回の棚はAmazonと楽天のリンクや。買うてもろたら店にいくらか入る。

帰りに寄る棚PR自転車 ベル 純正テケテケの正体はたいてい自転車のブレーキ音や。ベルを鳴らしたら退散や。無理して買わんでええからな。Amazonで見る楽天で見る

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